今回は宅建業者の「免許」についてかんたんに解説致します。この項目難易度の低いですが、頻出なので得点源となります。ただし混同しやすいポイントがあるので、しっかり区別して理解することが重要です。
1. 免許権者
だれが免許権者になるのか?
免許権者とは、宅建業者に「あなたの会社は宅建業を営んでいいよ」と許可を与える人のことです。免許権者は「都道府県知事」か「国土交通大臣」のどちらかです。免許権者が「都道府県知事」か「国土交通大臣」になるかは宅建業者の事務所の所在地に関係しています。
(例)東京都に宅建業の事務所が10あったら免許権者は東京都知事
東京都に9,千葉県に1つ事務所があったら免許権者は国土交通大臣となります。
ポイント | 詳細解説 | ひっかけ例 |
---|---|---|
判定基準は 事務所が いくつの都道府県にまたがって設置されているか | – 2つ以上 → 国土交通大臣 – 1つのみ → その県知事 | 「支店が多い=大臣免許」は誤り |
免許証交付は 義務 | 免許番号=業者の身分証 | 「交付しなくてもよい」× |
条件違反時の取消しは できる(任意) | 行政裁量:再発防止策を見て判断 | 「必ず取消し」× |
2. 事務所・本店/支店
事務所とは?
宅建業者の事務所とは、契約権限を持つ人(店長や支店長)を置いた、町にある不動産屋をイメージするとよいでしょう。ただし住宅展示場にあるようなテント張りの案内所などは、宅建業の事務所に含まれません。
宅建業の事務所は2種類、本店と支店に分けられます。本店を主たる事務所、支店を従たる事務所と呼びます。
本店が建設業、支店が宅建業を営んでいる場合、本店(親会社)は常に宅建業の事務所とみなされる点に注意です。
要点 | 丁寧な考え方 | ひっかけ例 |
---|---|---|
支店が宅建業なら、本店が非宅建でも事務所扱い | トラブル時の責任主体を本店に集中させるため | ケース③で本店を除外させる選択肢 |
従たる事務所=①契約権限者常駐 ②継続営業 | “店長+恒久店舗”がキーワード | 「出張所(期間限定)=事務所」× |
案内所は事務所に含まれない | 仮設・短期で顧客保護が困難 | “モデルハウス内ブース”を事務所扱い × |
3. 免許の例外
宅建業者が宅建業を営むためには免許が必要ですが、中には免許不要の組織があります。それが、国、地方公共団体、住宅供給公社、都市再生機構、信託銀行です。
主体 | 免許 | 宅建業法適用 | 背景 |
---|---|---|---|
国・地方公共団体・UR・住宅供給公社 | 不要 | なし | 公的主体=自己監督できる |
信託会社 | 不要(届出要) | あり | 既に信託業法で厳格監督/消費者保護のため法適用 |
農協等 | 必要 | あり | 行政機関でない=消費者保護必要 |
ひっかけ注意 ※国や地方公共団体から媒介・代理 を請け負う民間業者は 常に免許必須 —依頼主が行政機関でも同じ。
4. 免許換え
免許換えとは、宅建業者が、今ある都道府県の事務所を廃止、移転、他の都道府県に増設する際に、免許権者に新たな免許を申請する手続きのことです。下記の表をしっかりおさえましょう。
事務所の動き | 新しい免許権者 |
---|---|
1つの都道府県 →2つ以上の都道府県に拡大 | 都道府県知事 →国土交通大臣 |
2つ以上の都道府県 →1つの都道府県に縮小 | その県知事 |
A都道府県 →B都道府県に移転 | A都道府県知事→B都道府県知事 |
※案内所は事務所ではないので、免許換えの申請は不要です。
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