この法律は、不動産取引におけるトラブルを防ぎ、一般消費者を保護するために定められた非常に重要な法律です。今回の学習では、宅建業法の基本を構成する次の4つのキーワードについて順に解説していきます。
- 「宅地」
- 「建物」
- 「取引」
- 「業」
これらはすべて「宅建業」に該当するかを判断するうえで重要な要素であり、すべてに該当する場合には免許が必要になります。
宅地とは
「宅地」と聞くと、住宅を建てるための更地をイメージする人が多いですが、宅建業法においては以下の3つのパターンをすべて「宅地」として定義しています。
- すでに建物が建っている土地
→ 現在人が住んでいるか否かは関係ありません。空き家が建っている土地も宅地に含まれます。 - 建物を建てる予定で取引される土地
→ 現時点で建物が建っていなくても、将来的に建てる予定であれば宅地とみなされます。 - 用途地域内にある土地
→ 都市計画に基づき建築物の用途が制限された地域内の土地は、宅地として扱われます。
ただし、以下の5種類の土地はたとえ用途地域内にあっても「宅地」には含まれません:
- 道路
- 公園
- 広場
- 河川
- 水路
これらは例外として必ず押さえておきましょう。
建物とは?
宅建業法上、「建物」に明確な定義はありませんが、一般的に以下のような特徴を持つものが「建物」として扱われます。
- 土地に定着している
- 屋根・柱・壁がある
具体例としては:
- 一戸建ての住宅
- マンションやアパート
- 店舗、ビル、倉庫、工場
また、試験で特に注意が必要なものとして以下が挙げられます:
- リゾートクラブの会員権:これは、宿泊施設などの共有所有権を意味し、「建物」に該当します。
- ソーラーパネル:土地に設置されていても、「建物」には該当しません。
加えて、マンションの一室や事務所の一室など、建物の「一部」も「建物」として扱われる点が重要です。これは分譲マンションの一室を売買するケースなどをイメージすると理解しやすいでしょう。
取引とは?
「取引」とは、宅地や建物を売買したり、交換したりすることを指しますが、その取引の形態(態様)によって宅建業に該当するかどうかが分かれます。
宅建業法上の取引は以下の3つに分けられます:
1. 自ら取引する場合
- 売買 → 該当する
- 交換 → 該当する
- 貸借 → 該当しない! ← 試験頻出ポイント
※自分の物件を貸したり借りたりする行為(アパートの大家など)は、宅建業の「取引」には含まれません。
2. 代理として関与する場合
依頼を受けて、宅建業者が契約を代理で締結する立場です。
3. 媒介として関与する場合
売主と買主の間に立って、契約が成立するよう仲介する立場です。
✏️ ポイント:代理と媒介の違い
「代理」には契約締結の権限がありますが、「媒介」には権限がありません。
また、宅建業者が代理や媒介を行う場合は、売買・交換・貸借のすべてが「取引」に該当します。
業とは?
最後に「業(ぎょう)」の定義です。「業」とは、単なる一回限りの行為ではなく、以下の2つの要素を満たす必要があります:
- 不特定多数の相手に対して
→ 家族や会社の従業員は除かれますが、友人・知人・法人・一般顧客などは含まれます。 - 反復継続して取引を行うこと
→ 何回も取引を繰り返すこと。例えば、1人に対して複数の不動産を売却した場合などが該当します。
一方で、たとえばマンション10戸を一括で1回だけ売却した場合は、反復継続に該当しません。
まとめ
■ 免許の要否の判断基準
以下の4つすべてに該当するとき、「宅建業」に該当し、免許が必要です:
項目 | 該当内容 |
宅地 | 用途地域内などで定義された土地(例外5つは除外) |
建物 | 屋根・柱・壁のある定着物、マンションの一室なども含む |
取引 | 自ら売買・交換、または宅建業者による代理・媒介 |
業 | 不特定多数に対して反復継続して取引すること |
→ どれか1つでも欠ければ、免許は不要です。今回学んだ「宅地」「建物」「取引」「業」は、宅建業の基本中の基本です。これらを1つ1つ丁寧に理解し、最終的に「免許が必要かどうか」を自分で判断できるようになることが大切です。特に「自ら貸借は取引に該当しないこと」「用途地域内は例外5つを除いて宅地に該当する」点は非常に重要です。しっかり押さえておきましょう。
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