令和7年度宅建試験 解説 【宅建業法】

先日10月19日(日)に令和7年度宅建本試験が行われました。受験された方は本当にお疲れ様でした。前回のブログでもお話させて頂きましたが、今年は例年に比べて難易度がぐっと上がりましたね。特に【宅建業法】は、個数問題が昨年の3問から10問へと大幅に増加し、多くの受験者が苦戦を強いられたのではと思います。そこで今回は【宅建業法】の解説をお送りいたします。

個数問題は、消去法では解答を導くことができず、全ての肢の正誤を判断する力が求められる、ということで、今回は一問一答の特別仕様で解説していますので、すべての肢に触れながら復習にお役立て頂けたら幸いです。宅建業法の問26からスタートします。それではご覧ください!

目次

問26 報酬の制限

【問 26】宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)及び宅地建物取引業者B(消費税課税事業者)が受領した報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。【令和7年度試験】


Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃24万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金1,400万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、依頼者の双方からそれぞれ52万8,000円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反する。

「居住用以外の建物」+「返還されない権利金」という条件が揃ったため、①通常の貸借の報酬と②権利金の特例として2つの計算を行う必要がある。

  • 通常の賃貸の報酬

24万円(借賃)+2.4万円(税)=264,000円(双方からの上限)

  • 権利金の特例 =「売買」として計算

1400万円(権利金)×3%+6万円+税=528,000円(一方からの上限)

「売買」として計算するため、双方から528,000円を報酬として受領できる。

よって依頼者の双方からそれぞれ52万8,000円を報酬として受領することは違反しないため、「違反する」とする本問は誤り。


現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、かつ将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地(1か月の借賃5万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から代理を依頼され、賃貸借契約が成立したので、Aは貸主から4万円を、Bは、代理の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の1.1か月分を超えることについて借主から承諾を得たうえで、借主から7万円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反しない。

本問は「現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、かつ将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地」とあり長期の空家等の特例の対象である。長期の空家等の特例では、貸主から家賃2か月分+税を上限として受領することができる。ただし上限が2か月分+税であっても、借主からは、承諾があったとしても1か月分+税(=4.4万円)までしか受領できない。よって「借主から7万円を報酬として受領した」とする本問は、宅建業法に違反するので「違反しない」とする部分が誤りとなる。


Aは売主から媒介の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金 200万円(消費税等相額を含み、土地代金は90万円である。)の土地付建物の売買契約を成立させた場合に、依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、売主はAに対して少なくとも10万4,500円、買主はBに対して少なくとも10万4,500円を支払わなければならない。

宅建業法では、「報酬額の上限」を定めてはいるが、その「報酬額を支払わなければならない」という義務はない。また本問は「あらかじめ報酬の額を定めていなかった」とあるので、「支払わなければならない。」とする本問は誤り。

問27 重要事項説明

【問27】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第 35条に規定する重要事項の説明及び重要事項説明書の交付に関する次の記述において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。ただし、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。【令和7年度試験】


宅地建物取引業者は、区分所有建物の売買の媒介を行う場合に、当該一棟の建物及びその敷地の管理が法人に委託されているときは、その委託を受けている法人の商号又は名称及び主たる事務所の所在地を説明しなければならない。

区分所有建物の売買の媒介を行う場合に、該一棟の建物及びその敷地の管理が法人に委託されているときは「管理委託先の情報」は説明しなければならない。よって、当該一棟の建物及びその敷地の管理が法人に委託されているときは、その委託を受けている「法人の商号又は名称及び主たる事務所の所在地」を説明しなければならない。とする本問は正しい。


宅地建物取引業者は、自身が売主となる場合に、重要事項説明書の交付に当たり、専任の宅地建物取引士をして当該書面に記名させなければならず、また、買主にも当該書面に記名させなければならない。

宅建業者は、重要事項説明書の交付に当たり、宅地建物取引士をして当該書面に記名させなければならないが、宅地建物取引士であれば良く「専任」である必要はない。また買主に記名させなければならないというルールは存在しない。よって誤り。

宅地建物取引業者は、重要事項を説明する際には、宅地建物取引業者の事務所において行わなければならない。

重要事項を説明する場所においては、特に定められていないため、「宅地建物取引業者の事務所において行わなければならない。」とする本問は誤り。

宅地建物取引業者は、自身が売主となる場合であっても、買主に対して、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。

「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め」は37条書面の任意的記載事項である。よって35条重要事項においての説明は不要。

問28 宅建業の規制

【問 28】宅地建物取引業者の業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】


自ら売主として販売する宅地又は建物の広告に取引態様の別を明示しなかった場合は、罰則の対象とはならないが監督処分の対象となり、宅地又は建物の規模について著しく事実に相違する表示をした場合は、罰則の対象にも監督処分の対象にもなる。

販売する宅地又は建物の広告に取引態様の別を明示しなかった場合は「監督処分」の対象となり、宅地又は建物の規模について著しく事実に相違する表示をした場合は「罰則と監督処分」の対象となる。よって正しい。


自ら売主として土地付建物の売買契約を締結しようとする場合、当該土地上に建てようとする建物が建築確認申請前であっても、広告することはできるが、建築確認を受けるまで、契約を締結することはできない。

売買契約を締結しようとする場合においては、建築確認申請前においては、広告することはできない。よって誤り。後半部分の「建築確認を受けるまで、契約を締結することはできない。」の記述は正しい。


宅地建物取引業者は、自ら売主として、宅地建物取引業者である買主との間で、自ら所有しない造成前の宅地の売買契約を締結するためには、法第 41条の規定による手付金等の保全措置を講じ、かつ、売主である宅地建物取引業者が当該宅地を取得する契約を締結しなければならない。

本問は売主が宅建業者、買主も宅建業者の宅建業者間取引である。よって売主が宅建業者、買主が宅建業者以外に適用される「8種制限」の適用はないため、手付金の保全措置を講ずる必要はない。よって「契約を締結しなければならない。」とする本問は誤りとなる。


宅地建物取引業者は、宅地の売買の専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結の日から5日以内(休業日を除く。)に、当該宅地について指定流通機構に所定の事項を登録しなければならない。

宅地建物取引業者は、宅地の売買の専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結の日から5日以内(休業日を除く。)に、当該宅地について指定流通機構に所定の事項を登録しなければならない。本問は正しい。

問29 37条書面

【問 29】宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第 37条の規定により交付すべき書面
(以下この間において「37条書面」という。)に関する次の記述において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】


 Aが媒介により事業用宅地の賃貸借契約を成立させた場合、37条書面を交付しなければならないが、契約の当事者Bが宅地建物取引業者であるときは、交付する必要はない。

37条書面は契約の当事者が宅建業者であっても、交付しなければならない。「交付する必要はない。」という部分が誤り。


Aが自ら売主としてCと既存の建物の売買契約を締結した場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を 37条書面に記載しなければならない。

売買の場合、必要的記載事項である「建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」を 37条書面に記載しなければならない。ただし貸借の場合は「記載不要」である点に注意。


AがDを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがないときは、定めがない旨を 37条書面に記載しなければならない。

「天災その他不可抗力による損害の負担」は37条書面の任意的記載事項である。定めがある場合は、記載しなければならないが、本問は「定めがないとき」とあるので、記載不要である。よって「定めがない旨を 37条書面に記載しなければならない。」とする本問は誤りとなる。


Aが自ら売主としてFと建物の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載する必要はない。

建物の売買において「代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置」は37条の任意的記載事項。よって定めがある場合には37条書面に記載する必要がある。「記載する必要はない」とする本問は誤り。

問30 宅建業の規制

【問 30】いずれも宅地建物取引業者であるA社、B社及びC社(以下この間において「売主ら」という。)が、分譲マンションを共同で建築、販売することとなり、建築確認を受けた後、工事完了前にその一室を5,000万円で宅地建物取引業者ではない個人である買主に売却しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この間において「法」という。)に違反するものに〇、違反しないものに×で答えよ。【令和7年度試験】


売主らは、共同する全社が各個に重要事項説明を実施すると、かえって買主を混乱させると考え、買主の了解を得た上で、A社1社を幹事社とし、A社の宅地建物取引士が単独で重要事項説明書に記名のうえ、買主に交付し説明を行った。

記名においては、売主であるA社、B社及びC社の宅地建物取引士が連名で行う必要がある。よって「A社の宅地建物取引士が単独で」という部分が宅建業法に違反する。尚、後半部分の「(A社が単独で)買主に交付し説明を行った」は違反しない。


売主らは、A社の事務所において買主から買受けの申込みを受け、売買契約を締結したが、売主らは当該売買契約には法第 37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフの適用はないと判断し、クーリング・オフについて買主に告げる書面の交付は行わなかった。

売主であるA社の事務所は「クーリングオフができない場所」に該当する。よってクーリング・オフについて買主に告げる「書面の交付」は不要である。よって本問は宅建業法に違反しない。


売主らは、当該物件については、重要事項説明の時点では共用部分に関する規約が案であるので、買主の了解を得た上で、契約締結後に決定した規約を交付することとし、重要事項説明書への記載は省略した。

重要事項説明の時点で「共用部分に関する規約」が案であっても、重要事項説明書へは記載しなければならない。「重要事項説明書への記載は省略した。」とあるので宅建業法に違反する。


売主らは買主から手付金500万円を受領することとしたが、手付金の保全措置を講じる必要はないと判断し、手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載は省略した。

未完成物件の場合、手付金が売買代金の5%以下かつ1,000万円以下であれば保全措置を講じる必要はない。売主らは250万円までは手付金の保全措置は不要だが、本問は手付金500万円とあるので、手付金の保全措置を講じる必要がある。よって「手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載は省略した」とする本問は宅建業法に違反する。

問31 宅建業の規制

【問 31】次の記述において、宅地建物取引業法により禁止されている行為に〇、禁止されていない行為に×で答えよ。【令和7年度試験】


宅地建物取引士が、マンション販売の勧誘を電話で行うにあたり、まず、契約締結について勧誘する目的である旨を告げたうえで、自分の名前は名乗らず、自身の勤務する宅地建物取引業者の名称及び免許番号を伝えたうえで勧誘を行った。

宅地建物取引士に限らず、宅建業者の従業者が、販売の勧誘を行う場合、①勧誘する目的②勧誘者の氏名③宅建業者の商号又は名称を伝える必要がある。本問では「自分の名前は名乗らず」とあるので、禁止されている行為に該当する。


宅地建物取引業者が、賃貸マンションの媒介で入居申込者から申込みを受け付けたところ、当該マンションのオーナーからの審査回答待ちとなった。その後、入居申込者が、申込みを撤回したい旨電話で伝えたところ、当該宅地建物取引業者の従業員から声を荒げ「撤回をするなら、とりあえず事務所まで来てくれないと困る」と怒鳴られ、面会を強要された。申込者はその言動に不安を覚えたため、事務所に赴いて、申込みの撤回を申し出たところ、申込みの撤回が了承された。

本問は、入居申込者からの申込みの撤回を妨げる「威迫の禁止」に該当する。声を荒げ・怒鳴られ・面会を強要というパワーワードだけでも禁止行為であると判断したい。


宅地建物取引業者が、一時的にアルバイトを雇って、マンション販売の広告チラシの配布を行わせることとしたほか、契約書の作成業務も補助的に行わせるため、従業者証明書をその者に発行し、それらの業務を行わせた。ただし、そのアルバイトはマンション販売の広告チラシの配布の際には、従業者証明書を携帯していなかった。

宅建業者は一時的なアルバイトであっても、その従業者に対し、従業者証明書を携帯させなければ業務に従事させてはならない。また取引関係者から求められたときは、従業者証明書を提示しなければならない。よって「マンション販売の広告チラシの配布の際には、従業者証明書を携帯していなかった」とする本問は禁止行為に該当する。


マンションの販売の勧誘における説明において、宅地建物取引士は、日当たりのよいマンションの購入希望者に対して、「マンション南側の月極駐車場は出来たばかりであり、将来にわたりそこにマンションなどの高層の建物が建つ予定は全くない」と説明し、購入希望者から購入申込みを受け付けた。

本問は、宅地建物取引士が「将来にわたりそこにマンションなどの高層の建物が建つ予定は全くない」と言い切っており、「断定的判断の禁止」に該当する。


問32 保全措置・損害賠償

【問 32】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で
マンション(代金4,000万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この間において「法」という。)の規定に違反しないものに〇、違反するものに×で答えよ。【令和7年度試験】


Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金200万円を受領し、さらに建築工事中に 200万円を中間金として受領した後、該手付金と中間金について法第41条に定める保全措置を講じた。

未完成物件のマンションで売買代金が4000万円の場合、手付金200万円(5%以下かつ1,000万円以下)までは保全措置を講じず受領できるが、本問では「さらに建築工事中に 200万円を中間金として受領」とあるので、中間金を受領する「前」に手付金の保全措置を行う必要がある。よって宅建業法の規定に違反する。


Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、法第 41条の2に定める保全措置を講じることなくBから手付金400万円を受領した。

完成物件のマンションで売買代金が4000万円の場合、手付金400万円(10%以下かつ1,000万円以下)までは保全措置を講じず受領できる。本問は「手付金400万円を受領した」とあるので宅建業法の規定に違反しない。


Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金500万円を受領したが、Bに債務不履行がないにもかかわらず当該手付金 500万円を返還して、契約を一方的に解除した。

売主である宅建業者Aが契約を解除する場合、買主Bに対し、手付の「倍額」を現実に提供する必要がある。よってAはBに1,000万円を返還しないと解除ができない。本問では「手付金 500万円を返還して、契約を一方的に解除した。」とあるので、Aは宅建業法の規定に違反する。


Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めた。

売主が宅建業者・買主が宅建業者以外の場合で、損害賠償の予定額を定める場合は、売買代金の20%を超えてはならない。本問の売買代金は4,000万円なので、損害賠償の予定額を定める場合は800万円を超えてはならない。よって「損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めた」とあるのでAは宅建業法の規定に違反する。

問33 37条書面

【問 33】 宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。含まれているものなお、この問において「37条書面」とは、同法第 37条の規定により交付すべき書面をいうものとする。【令和7年度試験】


建物の賃貸借の媒介をするAは、当該建物の引渡しの時期について、重要事項説明書に記載して説明する必要はないが、37条書面には記載しなければならない。

建物の貸借において「建物の引渡しの時期」は37条書面の必要的記載事項である。よって記載しなければならないが、重要事項説明書おいては記載して説明する必要はない。本問は正しい。


Aは、自ら売主として建物を売却する場合、重要事項説明書に記載しなければならない契約の解除に関する事項については、契約に定めがなくても37条書面に全て記載しなければならない。

建物の売買において「契約の解除に関する事項」は、重要事項説明書に記載しなければならないが、37条書面においては任意的記載事項であるので、定めがないなら記載する必要はない。

Aは、売主を代理して、抵当権が登記されている建物を売却する場合、買主に交付する
37条書面だけでなく、売主に交付する 37条書面についても、当該抵当権の内容を記載しなければならない。

建物の売買において「登記された権利の種類及び内容」は35条書面においては記載しなければならないが、37条書面においては記載不要である。本問は「37条書面についても、当該抵当権の内容を記載しなければならない。」とあるので誤り。

建物の賃貸借の媒介をするAは、37条書面を交付するに当たり、宅地建物取引士をして、その内容を説明させなければならない。

売買・貸借問わず、37条書面を交付するに当たり、説明は不要である。よって宅地建物取引士をして、その内容を説明させなければならない。といった義務はない。

問34 欠格事由

【問 34】宅地建物取引業の免許(以下この間において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】


A社の政令で定める使用人Bは、刑法第 234条(威力業務妨害)の罪により、懲役2年、執行猶予2年の刑に処せられた後、A社を退任し、新たにC社の政令で定める使用人に就任した。Bの執行猶予期間が満了していない場合に、C社が免許を申請しても、免許を受けることができない。

政令で定める使用人Bが、懲役刑に処せられた場合、①刑の執行が終わってから5年経過するか、②執行猶予期間が満了しなければ、C社は免許を受けることができない。本問にはどちらの記載もないため、「C社が免許を申請しても、免許を受けることができない」とする本問は正しい。


D社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、宅地建物取引業法第 11条の規定による廃業の届出をした。その廃業に相当の理由がなかった場合、当該公示の日の40日前にD社の取締役を退任したEは、当該届出から5年経過しなければ、免許を申請しても免許を受けることができない。

法人が不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、相当の理由なく廃業の届出をした場合、当該公示の日の60日以内にその法人の役員(取締役)であった者は、届出の日から5年を経過しない場合、免許を受けることができない。Eは「当該公示の日の40日前にD社の取締役を退任した」とあるので、免許を申請しても免許を受けることができない。よって正しい。

営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第 206条(現場助勢)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなくても、Fは免許を申請すれば免許を受けることができる。

Fは営業に関し成年者と同一の行為能力を「有しない」未成年者のため、免許を受けるためには、法定代理人であるGが「欠格事由に該当していない」必要がある。Gは現場助勢の罪により罰金の刑とあり、「暴力系の罪で罰金=欠格事由」に該当するため、刑の執行が終わった日から5年を経過しないと免許を受けることはできない。よって「5年を経過していなくても、Fは免許を申請すれば免許を受けることができる。」とする本問は誤りとなる。

H社の政令で定める使用人J は、裁判所へJ自身の破産申し立てを行った後、H社を退任し、裁判所から破産手続の開始決定を受けるまでの間に、新たにK社の政令で定める使用人に就任した。その後、Jが復権を得た場合、その日から5年を経過しなくても、K社が免許を申請すれば、免許を受けることができる。

破産申し立てを行い、裁判所から破産手続の開始決定を受けた場合、欠格事由に該当するが、「復権を得れば」すぐに免許を受けることができる。よって5年を経過しなくとも免許を申請すれば、免許を受けることができる。本問は正しい。

問35 営業保証金

【問 35】宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅
地建物取引業法の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。【令和7年度試験】


免許の有効期間満了の際、Aが営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。

宅建業者が免許の有効期間満了により、営業保証金を取り戻そうとする場合には、還付を受けられる者に対し、6か月を下らない(6か月以上)の期間内に申し出るべき公告を行う必要がある。よって正しい。尚、宅建業者が「保証協会」に加入している場合で、免許の有効期間満了し、取戻しを行う際には「公告不要」である。


Aが営業保証金を供託する場合において、金銭と有価証券を併用して供託することができるが、従たる事務所を設置したときの営業保証金については、金銭のみをもって供託しなければならない。

営業保証金を供託する場合、本店(主たる事務所)・支店(従たる事務所)関係なく「金銭または有価証券」「金銭と有価証券の併用」により供託することができる。よって本問の「金銭のみをもって供託しなければならない。」とする部分が誤り。

Aは、事業の開始後新たに乙県に従たる事務所を設置したときは、従たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託し、その供託物受入の記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

Aが新たに乙県に従たる事務所を設置した場合、「主たる事務所の最寄りの供託所」に営業保証金を供託する必要がある。本問は「従たる事務所の最寄りの供託所」とあるので誤り。


Aの設置した支店においてAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、500万円を限度としてその債権の弁済を受ける権利を有する。


×問題文から宅地建物取引業者Aは、本店と支店1つ以上を営んでいると分かる。本店は1,000万円、支店は1つにつき500万円なので、取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、最低でも「1,500万円を限度」としてその債権の弁済を受ける権利を有する。本問は「500万円を限度」としているので誤り。

問36 宅建業の規制

【問 36】宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、禁止されているものに〇、禁止されていないものに×で答えよ。【令和7年度試験】


Aの従業者は、電話によりBに投資用マンションの購入の勧誘を行った際、Bから「Aから購入する意思は一切無いので、今後電話を含め勧誘はしないでほしい。」と告げられたが、その翌日、Bに対し、再度の勧誘を行った。

相手方が「勧誘を引き続き受けることを希望しない意思」を示したのにも関わらず、宅建業者が、継続して勧誘することは禁止行為に該当する。


建物の購入希望者から「契約の締結についてしばらく考えさせてほしい。」という申し出があったので、Aの従業者は、他に買い手がいないにもかかわらず、「他に買い手がいるので、今日中しか契約の締結はできない。」と当該購入希望者に告げた。

宅建業者は、「正当な理由なく、契約を締結するか判断するための必要な時間を与えることを拒んではならない。」本問は禁止行為に該当する。


Aの従業者は、建物の購入希望者に対して、長時間にわたり契約の締結をするための勧誘を行い、当該購入希望者を困惑させた。

宅建業者が「深夜もしくは長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法により困惑させること」は禁止行為に該当する。


建物の売買を媒介しているAの従業者は、手持ち資金がない購入希望者に対して「手付金は当社が貸し付けるので後から返してくれれば構わない。」と告げて、契約の締結を誘引したが、契約には至らなかった。

宅建業者が「手付の貸付け・手付の分割払い、その他信用の供与により契約の締結を誘引すること」は禁止行為に該当する。

問37 重要事項説明


【問 37】宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第 35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。【令和7年度試験】


建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第61条第1項に基づく建物の構造に係る制限があるときは、その概要を説明しなければならない。

×建物の貸借において「都市計画法・建築基準法その他法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要」は説明不要である。

※ただし建物の貸借においても説明が必要なケースがある。

①新住宅市街地開発法32条1項 ②新都市基盤整備法51条1項 ③流通業務市街地の整備に関する法律38条一項。これらに3つに該当する場合、説明が必要となるが、頭の片隅にいれておくだけで良い。基本「建物の貸借は、法令上の制限(都市計画法・建築基準法)は説明不要」で押さえておこう。


マンションの分譲を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専用部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めが案の段階であるときは、説明する必要はない。

建物の売買において「建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専用部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め」は「案」の段階でも説明しなければならない。「説明する必要はない。」とあるので誤り。


建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の額、授受の目的及び保管方法を説明しなければならない。

建物の貸借において「借賃以外に授受される金銭の額、授受の目的及び保管方法」は説明不要である。


鉄筋コンクリート造の既存の共同住宅の販売を行う場合、宅地建物取引業法第 34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を1年6か月前に実施したときは、建物状況調査を実施したこと、その結果の概要について説明しなくてはならない。

既存建物(中古物件)の売買において「既存建物の場合、建物状況調査を実施しているかどうか、実施している場合はその結果の概要」を説明する必要がある。また建物状況調査は1年を経過していないもの(鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅に限って調査実施後2年以内)が対象となる。本問は「鉄筋コンクリート造の既存の共同住宅」「建物状況調査を1年6か月前に実施」とあるので、説明しなくてはならない。よって正しい。

問38 宅建業の規制

【問 38】宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】

Aは、宅地又は建物の売買に関する広告をする際に取引態様の別を明示した場合、当該広告を見た者から売買に関する注文を受けたときは、改めて取引態様の別を明示する必要はない。

宅建業者は、広告つど、取引態様の別を明示しなければならない。また注文を受けたときも改めて取引態様の別を明示しなければならない。本問は「取引態様の別を明示する必要はない。」とあるので誤り。

Aは、宅地の売買に関する広告をするに当たり、当該宅地の形質について、実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させる表示をした場合、当該宅地に関する注文がなく、売買が成立しなかったときであっても、監処分及び罰則の対象となる。

宅建業者は、物件の所在・規模・「形質」・利用の制限・環境・交通その他の利便・代金、借賃等の対価の額や支払い方法・代金、交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて「実際のものよりも著しく優良である」と人を誤認させる表示をした場合、契約が成立しなかったとしても、宅建業法に違反し、「監督処分及び罰則」の対象となる。よって正しい。

Aは、複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする予定でいる場合、最初に行う広告に取引態様の別を明示すれば足り、それ以降は明示する必要はない。

宅建業者は、数回に分けて広告をする予定であっても、広告つど、取引態様の別を明示しなければならない。

Aは、建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない広告をした場合、国土交通大臣の定める報酬限度額となる媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領できる。

宅建業者が広告の料金を受領できるのは、「依頼者の依頼による場合」に限られる。よって本問のように「依頼者の依頼によらない広告の場合」宅建業者は、広告の料金に相当する額を受領できない。「受領できる」とあるので誤り。

問39 媒介契約

【問 39】宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却について媒介の依頼を受けた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】


AがBとの間で専属専任媒介契約を締結し、Bから「売り出し中であることを秘密にしておきたいので指定流通機構への登録はしないでほしい」旨の申出があった場合、Aは、そのことを理由に登録をしなかったとしても法に違反しない。

専属専任媒介契約において、「指定流通機構への登録」は義務であるため、登録しなかった場合、宅建業法違反となる。宅建業者は、たとえ買主から「登録しないでほしい」と依頼があっても指定流通機構へ登録しなければならない。


Aは、Bとの間で有効期間を1か月とする専属専任媒介契約を締結する際、「Bが媒介契約を更新する旨を申し出ない場合は、有効期間満了により自動更新するものとする」旨の特約は有効である。

専属専任媒介契約において、「有効期間満了により自動更新するものとする旨の特約」は無効である。たとえ売主からの依頼があっても同様である。


AがBと一般媒介契約を締結したときは、法第 34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、宅地建物取引士をして記名させなければならない。

法第 34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面(媒介契約書)において、記名させなければならないのは、宅地建物取引士でなく「宅建業者」である。

AがBとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、Aは、当該中古住宅の取引の申込みの受付に関する状況を指定流通機構に登録しなければならない。

専属専任媒介契約において宅建業者は「当該中古住宅の取引の申込みの受付に関する状況」は、指定流通機構に登録しなければならない。

指定流通機構への登録事項は以下のものである

  • 宅地または建物についての「所在・規模・形質・売買すべき価格」
  • 宅地または建物についての「都市計画法その他法令に基づく制限で主要なもの」
  • 宅地または建物についての「申込みの受付に関する状況」
  • 当該専任媒介契約が専属専任媒介契約である場合にあっては、その旨

※所有者の氏名・住所は登録事項ではない。

問40 クーリングオフ

【問40】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者Bの媒介により、完地建物取引業者ではない買主Cとの間で宅地の売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】


Cは、Bの事務所で買受けの申込みを行い、その3日後に、Cの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

媒介業者である宅建業者Bの事務所は、「クーリングオフによる解除ができない場所」に該当する。よって宅建業者Bの事務所で買受けの申込み行った場合、買主Cはクーリング・オフによる契約の解除はできない。


AとCの間で、クーリング・オフによる契約の解除に関し、Cは契約の解除の書面をクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに到達させなければ契約を解除することができない旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。

正しい。買主Cからクーリングオフによる契約の解除を行う場合、Cはクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに「発信」すればよく、「到達」させなければ契約を解除することができないという部分が無効となる。


Cは、Bからの提案によりCの自宅で買受けの申込みを行ったが、クーリング・オフについては告げられず、その10日後に、Aの事務所で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

買主から申出た「買主の自宅」はクーリングオフできない場所である。しかし本問は、宅建業者Bからの提案で「Cの自宅」で申込みを行ったとあるので、クーリングオフができる場所に該当する。また「クーリング・オフについては告げられず」とあるので、Cは10日後であっても契約の解除ができる。「解除できない」とする本問は誤り。


クーリング・オフについてCに告げる書面には、Aの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならないが、Bの商号又は名称及び住所並びに免許証番号の記載は必要ない。

〇クーリング・オフについて買主に告げる書面には、売主の「商号又は名称及び住所並びに免許証番号」を記載しなければならないが、媒介業者の「商号又は名称及び住所並びに免許証番号」は記載不要である。本問は正しい。

問41 免許

【問 41】 宅地建物取引業の免許(以下この間において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】


宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、甲県知事は免許を取り消さなければならない。

免許権者は、免許を与えた宅建業者が、1年以内に事業を開始しないときは、免許を取り消さなければならない。本問は免許の「必要的取消事由」に該当する。


宅地建物取引業者B(甲県知事免許)が株主総会の決議により解散した場合、Bを代表する役員であった者は、その旨を当該解散の日から 60日以内に甲県知事に届け出なければならない。

宅地建物取引業者が解散した場合、「清算人」が解散の日から 「30日以内」に免許権者に届け出なければならない。本問は「Bを代表する役員であった者」「60日以内」となってるので誤り。


宅地建物取引業者ではないCが甲県に本店を、乙県に支店をそれぞれ有する場合で、乙県の支店のみで新たに宅地建物取引業を営もうとするときは、Cは乙県知事の免許を受けなければならない。

支店が宅建業を営んでいる場合、本店は必ず宅建業の事務所となる。よってCが乙県のみで宅建業の支店を営もうとする場合、Cは国土交通大臣の免許を受けなければならない。「乙県知事の免許を受けなければならない。」となっている部分が誤り。


宅地建物取引業者D(甲県知事免許)は、甲県の事務所を廃止し、乙県内で新たに事務所を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、甲県知事へ廃業の届出を行うとともに、乙県知事への免許換えの申請を行わなければならない。

×宅建業者Dは、甲県の事務所を廃止するため、乙県知事に免許換えの申請を行わなければならないが、甲県知事へ廃業の届出は不要である。

問42 宅建士

【問42】 宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。なお、この間において、宅地建物取引士は、事務の禁止の処分を受けていないものとする。【令和7年度試験】


二つ以上の都道府県において宅地建物取引士資格試験に合格した者は、当該試験を行った都道府県のうち試験日が遅い都道府県知事の登録以外を受けることができない。

宅建士登録は、試験の合格地である都道府県でのみ行うことができる。例えば、東京と大阪で試験を受けて2度合格しているのであれば、どちらか一方で登録を受けることができるが、本問のように「試験日が遅い都道府県知事の登録以外を受けることができない」といった規定はないため誤りとなる。


宅地建物取引士は、その登録している勤務先の名称に変更があった場合、登録を受けている都道府県知事に、変更の登録の申請とあわせて、宅地建物取引士証の書換え交付を申請しなければならない。

宅地建物取引士証の書換え交付を申請しなければならないのは、宅建士の「氏名・住所」に変更があった場合のみである。よって誤り。「勤務先の名称」に変更があった場合は、遅滞なく「変更の登録」を申請する必要がある。前半部分は正しい。

宅地建物取引士は、宅地建物取引士証が効力を失ったときは、速やかに、宅地建物取引士
証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。

正しい。宅地建物取引士は、宅地建物取引士証が効力を失ったとき(有効期間満了)、消除されたときは、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。尚、宅建業者の「免許」が有効期間を満了により失効しても免許証の返納義務はない。


宅地建物取引士は、登録を受けている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しているときは、登録の移転の申請をすることができる。

宅地建物取引士は、登録を受けている都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しているときは、登録の移転の申請をすることができる。(任意)よって本問は正しい。

問43 重要事項説明

【問 43】 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。【令和7年度試験】


自らを委託者とする宅地又は建物に係る信託の受益権の売主となる場合、相手方に金融商品取引法第2条第 10項に規定する目論見書を交付し、宅地建物取引業法第 35条第3項の規定に基づき説明すべき事項のすべてが当該目論見書に記載されているときは、重要事項説明書の交付及び説明を省略することができる。

本問は①宅建業者が自らを「委託者とする売主」である場合で、②「説明すべき事項のすべてが、当該目論見書に記載されているものを相手方に交付している」ときに、重要事項説明書の「交付及び説明を省略できる」という正答率が非常に低い難問である。


建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が建築工事の完了前のものであるときは、その完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造について説明しなければならない。

建物の貸借において、未完成物件の場合「建築工事完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造」について説明しなければならない。本問は正しい。


建物の貸借の媒介を行う場合、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項を説明しなければならない。

建物の貸借において「敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項」は説明しなければならない。本問は正しい。

宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が津波防災地域づくりに関する法律第 21条第1項により指定された津波防護施設区域内にあるときは、同法第 23条第1項の規定による制限の概要について説明しなければならない。

宅地の売買において「当該宅地が波防災地域づくりに関する法律第 21条第1項により指定された津波防護施設区域内にあるときは、同法第 23条第1項の規定による制限の概要」は説明しなければならない。本問は正しい。

問44 犯罪収益移転防止法

【問 44】宅地建物取引業者は、狙罪による収益の移転防止に関する法律第2条第2項の特定事業者に該当するが、宅地建物取引業者Aの行為に関する次の記述において、同法に違反するものに〇、違反しないものに×で答えよ。【令和7年度試験】


Aは、土地付建物の売買を行うに際して、当該売買契約の相手方である買主が自然人であったので、氏名、住居、生年月日、取引を行う目的及び職業について、確認した。

宅地建物取引業者は、狙罪による収益の移転防止に関する法律第2条第2項の特定事業者に該当する。法人ではなく自然人において、本人特定事項として「氏名・住居・成年月日」また取引を行う目的・職業を確認することは同法に違反しない。


Aは、価額が5,000万円の土地付建物の売買を行ったとき、直ちに、一定の方法により、当該売買契約の相手方である買主の確認記録を検索するための事項、当該取引の期日及び内容その他の事項に関する記録を作成して保存していたが、当該取引の行われた日から5年経過したので、年度末に当該記録を廃棄した。

宅建業者は、特定業務に係る取引を行った場合には、少額の取引その他の政令で定める取引を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、当該取引の期日及び内容その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。また特定取引等に係る契約が終了した日その他の主務省令で定める日から、「7年間」保存しなければならない。本問は「5年経過したので、年度末に当該記録を廃棄した。」とあるので誤り。


Aは、土地付建物の売買契約の相手方である買主から収受した代金について狙罪により得た収益であるとの疑いがあったので、速やかに、所定の事項を行政庁に届け出た。

宅建業者は、売買契約の相手方である買主から収受した代金について狙罪により得た収益であるとの疑いがある場合、速やかに、所定の事項を行政庁にと届け出る必要がある。よって違反しない。


Aは、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を的確に行うため、顧客と実際に接する営業担当者に対する教育訓練を実施した。

狙罪による収益の移転防止に関する法律によると「宅建業者は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を的確に行うため、次に掲げる措置を講ずるように努めなければならない」とある。本問は下記の「使用人に対する教育訓練の実施」に該当するため違反しない。

  • 使用人に対する教育訓練の実施
  • 取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成
  • 取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な監査その他の業務を統括管理する者の選任
  • その他第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して講ずべきものとして主務省令で定める措置。 

問45 住宅瑕疵担保履行法

【問 45】 特定住宅疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売疵担保保証金(以下この間において「保証金」という。)の供託又は住宅販売職疵担保責任保険契約(以下この間において「保険契約」という。)の締結に関する次の記述において、正しいものには〇、誤ったものには×で答えよ。【令和7年度試験】


宅地建物取引業者は、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前
15年間に自ら売主となる売買契約に基づき宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した新築住宅(保険契約に係る新築住宅を除く。)について、保証金の供託をしていなければならない。

宅地建物取引業者は、基準日から3週間を経過する日までの間において、当該基準日前
「10年間」に自ら売主となる売買契約に基づき宅地建物取引業者ではない買主に引き渡した新築住宅(保険契約に係る新築住宅を除く。)について、保証金の供託をしていなければならない。本問は「15年間」となっているので誤り。


宅地建物取引業者は、自ら売主となる売買契約に基づき新築住宅を引き渡す場合だけでなく、新築住宅の売買の媒介をする場合においても、保証金の供託又は保険契約の締結をしなければならない。

宅地建物取引業者は、「自ら売主」となる売買契約に基づき新築住宅を引き渡す場合にのみ、保証金の供託又は保険契約の締結を行う必要がある。よって新築住宅の売買の「媒介」は対象外となる。


保険契約を締結している宅地建物取引業者は、新築住宅を引き渡した時から 10年間、構造耐力上主要な部分の瑕疵によって生じた損害についてのみ当該保険契約に係る保険金を請求することができる。

保険契約を締結している宅地建物取引業者は、新築住宅を引き渡した時から 10年間、「耐力上主要な部分」または「雨水の侵入を防止する部分」について瑕疵によって生じた損害において当該保険契約に係る保険金を請求することができる。本問は「構造耐力上主要な部分の瑕疵によって生じた損害についてのみ」となっているので誤り。


保険契約を締結している宅地建物取引業者及び当該業者が売主となっている新築住宅の買主は、指定住宅紛争処理機関に特別住宅紛争処理の申請をすることにより、当該新築住宅の売買契約に関する宅地建物取引業者と買主との間の紛争について、あっせん、調停又は仲裁を受けることができる。

売主である宅建業者および新築住宅の買主は、指定住宅紛争処理機関に特別住宅紛争処理の申請をすることにより、当該新築住宅の売買契約に関する宅地建物取引業者と買主との間の紛争について、あっせん、調停又は仲裁を受けることができる。本問は正しい。

次回は、【法令上の制限】問15~問22をお届けします。ぜひご覧ください!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

約10年広告代理店でディレクターとして勤務。コロナ禍で将来の不安から宅建試験を受験し合格。趣味は音楽、楽器、映画鑑賞など。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次