宅建試験では、原則としてその年の4月1日時点で施行されている法令が出題対象になります。
そのため、2026年(令和8年度)の宅建試験では、2026年4月1日までに施行された法改正を押さえておく必要があります。
特に再挑戦組の方にとって大変なのが、前年テキストとの差分です。
宅建試験向けの市販テキストは新規受験者向けに作られていることが多く、「去年からどこが変わったのか」が明確に書かれていない場合もあります。
そこでこの記事では、2025年試験から2026年試験にかけて押さえておきたい法改正を、改正前・改正後の違いが分かる形で整理して解説します。

2026年宅建試験で特に押さえたい法改正一覧
まずは、2026年試験で優先的に確認したい法改正を一覧で見ておきましょう。
2026年試験で最も注意したいのは、区分所有法の大幅改正です。
区分所有法は毎年1問程度の出題ですが、2026年4月1日施行の改正内容が多く、試験でも狙われやすい分野と考えられます。
改正前・改正後の違いまとめ
2026年宅建試験で特に注意したい法改正について、改正前と改正後の違いを分野ごとに整理しました。
再挑戦組の方は、前年までの知識のままだと間違えやすい部分なので、まずはこの表で変更点を確認しておきましょう。
宅建業法|拘禁刑への一本化
宅建業法では、仕組みそのものよりも文言の変更が中心です。
「懲役・禁錮」が「拘禁刑」に変わっただけで、欠格期間の5年などは基本的に変わりません。
民法|公正証書遺言のオンライン化
試験対策では、細かいオンライン手続きよりも、公正証書遺言の作成がオンラインでも可能になったという点を押さえましょう。
ただし、証人2人以上の立会いや遺言者の口授といった基本要件は引き続き重要です。
不動産登記法|住所・氏名等変更登記の義務化
ここは数字が出題されやすいポイントです。
変更があった日から2年以内、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料と覚えましょう。
また、相続登記の義務化とは別制度です。
区分所有法|集会・決議要件の変更
区分所有法では、全体ベースから出席者ベースに変わったものが多くあります。
ただし、建替えなど重要な決議は、引き続き厳しい要件が残ります。
区分所有法|新しくできた制度
新制度は、細かい条文まで追いすぎるよりも、何のために作られた制度かを押さえることが大切です。
宅建業法の改正|懲役・禁錮が「拘禁刑」に一本化
宅建業法では、刑法改正に関連して「懲役」「禁錮」という表現が見直されています。
令和7年6月1日から、従来の懲役刑と禁錮刑が廃止され、拘禁刑に一本化されました。
これに伴い、宅建業法でも欠格事由などの文言が変更されています。
押さえるべき条文
宅建試験で特に確認したいのは、次の2つです。
たとえば、免許の欠格事由では、次のような表現になります。
ポイントは、欠格となる期間や仕組み自体が大きく変わったわけではないということです。
試験対策としては、「懲役・禁錮」ではなく「拘禁刑」という表現に変わった、と押さえておきましょう。
民法の改正|公正証書遺言のオンライン化
民法では、公正証書遺言の作成手続きに関する改正が行われています。
従来、公正証書遺言は公証役場に出向いて作成するのが基本でした。
しかし、令和7年10月1日から、公正証書の作成手続きがデジタル化され、一定の要件のもとでオンライン方式による作成が可能になりました。
試験対策上のポイント
宅建試験では、細かい手続きの流れよりも、次の点を押さえておきましょう。
公正証書遺言は権利関係の相続分野で出題される可能性があります。
細かい制度趣旨まで深入りするよりも、「公正証書遺言もオンライン化の対象になった」と整理しておくとよいでしょう。
不動産登記法の改正|住所・氏名変更登記が義務化
2026年4月1日から、不動産登記法の改正により、住所・氏名等の変更登記が義務化されます。
不動産の所有者は、住所や氏名・名称に変更があった場合、一定期間内に変更登記を申請しなければなりません。
住所等変更登記のポイント
ここで注意したいのは、相続登記の義務化とは別の制度という点です。
相続登記の義務化は令和6年4月1日から始まっており、相続により不動産を取得した場合の登記義務です。
一方、今回の住所等変更登記の義務化は、所有者本人の住所や氏名が変わった場合の登記義務です。
区分所有法の大幅改正|2026年試験の最重要ポイント
2026年試験で最も重要なのが、区分所有法の改正です。
区分所有法はマンションに関する法律で、宅建試験では権利関係の中で出題されます。
今回の改正では、老朽化マンションの増加、区分所有者の高齢化、所在不明所有者の増加、海外在住所有者の増加などに対応するため、管理・再生を進めやすくする見直しが行われています。
集会の議事|出席者ベースの多数決へ
改正前は、集会の議事について、原則として区分所有者および議決権の各過半数で決するものとされていました。
改正後は、原則として出席した区分所有者およびその議決権の各過半数で決する形になります。
ポイントは、「全体の過半数」から「出席者ベースの過半数」へと、決議しやすくなったことです。
ただし、建替えなど区分所有権の処分を伴う重要な決議では、別途厳しい要件が残ります。
所在等不明区分所有者の除外制度
今回の改正では、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外できる制度も創設されています。
これは、所有者が行方不明で連絡が取れない場合に、その人を含めると集会の決議が進まないという問題に対応する制度です。
裁判所の認定を受けることで、所在等不明区分所有者を議決権を有しないものとして扱えるようになります。
国内管理人制度の創設
海外に住む区分所有者が増えると、管理組合からの通知が届きにくい、議決権行使が難しい、管理費の支払いが滞るといった問題が生じます。
そこで、改正により国内管理人制度が設けられました。
国内管理人は、海外在住の区分所有者に代わって、次のような行為を行うことができます。
試験対策では、「海外在住の区分所有者に対応するための制度」と理解しておきましょう。
マンションに特化した財産管理制度の創設
改正区分所有法では、マンションに特化した財産管理制度も創設されています。
たとえば、専有部分にゴミが放置されている、共用部分の外壁が危険な状態になっている、所有者が不明で管理できない、といったケースに対応するための制度です。
宅建試験では、制度名と大まかな趣旨を押さえておけば十分です。
共用部分の変更決議の要件緩和
共用部分の変更についても、決議要件が見直されています。
特に重要なのは、一定の場合に多数決割合が緩和される点です。
宅建試験では、数字が問われやすいので、過半数・4分の3・3分の2の違いを整理しておきましょう。
規約の設定・変更・廃止
規約の設定・変更・廃止についても、出席要件が加わっています。
改正後は、区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有する者が出席した集会で、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の決議が必要になります。
大規模復旧
建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の復旧決議についても、要件が見直されています。
改正後は、一定の出席要件を満たしたうえで、出席した区分所有者及び議決権の各3分の2以上で復旧決議ができるようになります。
建替え決議の要件緩和
建替え決議は、原則として区分所有者及び議決権の各5分の4以上が必要です。
ただし、改正により、一定の客観的事由がある場合には、各4分の3以上に緩和されます。
建替えは宅建試験でも数字が問われやすい論点です。
原則5分の4、一定の場合は4分の3と整理しておきましょう。
宅建業法施行規則の改正|試験上は軽めに確認
宅建業法施行規則では、宅建業者票のサイズ変更などがあります。
以前はA3サイズよりも大きいサイズが求められていましたが、改正によりA3サイズに変更されています。
ただし、試験対策上の優先度は高くありません。
また、重要事項説明のマンション部分では、管理の委託先に関する説明に加え、管理組合から委託を受けて管理事務を行う「管理業者管理方式であるか否か」の説明が追加される予定とされています。
管理者が管理業者である場合、工事の発注者と受注者になり得るなど、利益相反の懸念があるためです。
試験対策としては、細かい実務手続きよりも、重要事項説明の対象が広がる可能性がある点を軽く押さえておくとよいでしょう。
近年の重要改正|あわせて確認したい論点
2026年試験では、今回の新しい改正だけでなく、ここ数年の重要改正も出題される可能性があります。
特に、相続登記の義務化と住所等変更登記の義務化は混同しやすいため、セットで整理しておきましょう。
相続登記の義務化
相続により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
住所等変更登記の義務化とあわせて、整理しておきましょう。
配偶者居住権・配偶者短期居住権
配偶者居住権は、被相続人の配偶者が、被相続人所有の建物に住み続けることができる権利です。
配偶者居住権は、存続期間について別段の定めをした場合、期間満了によって消滅し、延長や更新はできません。
一方、配偶者短期居住権は、被相続人の配偶者が被相続人所有の建物に居住していた場合、遺産分割がまとまるまで、または最低6か月間、無償で住み続けることができる権利です。
どちらも相続分野で問われる可能性があるため、基本的な違いを押さえておきましょう。
標準媒介契約約款の変更
標準媒介契約約款では、建物状況調査を実施する者のあっせんを「無」とする場合の理由記載などが見直されています。
宅建業法の媒介契約は頻出論点なので、過去問とあわせて確認しておきましょう。
2026年宅建法改正対策の優先順位
法改正はすべてを完璧に覚えようとすると時間が足りなくなります。
試験対策では、次の優先順位で進めるのがおすすめです。
法改正は、過去問が少ない、または存在しない論点もあります。
そのため、テキストで制度趣旨を確認したうえで、予想問題や模試で出題形式に慣れておくことが大切です。
よくある質問
2026年宅建試験の法改正はいつまでのものが出題されますか?
原則として、試験実施年度の4月1日時点で施行されている法令が対象です。
2026年試験では、2026年4月1日までに施行された法令を確認しておきましょう。
2026年試験で一番重要な法改正は何ですか?
最も重要なのは、区分所有法の改正です。
集会の決議要件、所在等不明区分所有者、国内管理人制度、建替え決議の要件緩和など、試験で問われやすいポイントが多く含まれています。
法改正をすべて暗記する必要はありますか?
すべてを丸暗記する必要はありません。
宅建試験では、重要度の高い改正点を優先し、制度趣旨と数字をセットで押さえることが大切です。
法改正はどうやって問題演習すればよいですか?
法改正は過去問が少ないため、予想問題・模試・アプリの問題演習を活用するのがおすすめです。
特に区分所有法の数字や登記義務の期限は、繰り返し確認して定着させましょう。
まとめ|2026年試験は区分所有法と登記義務化を重点確認
2026年宅建試験では、令和8年4月1日までに施行された法改正が出題対象になります。
特に押さえておきたいのは、区分所有法と登記義務化です。
法改正は出題されやすい一方で、すべてを細かく覚える必要はありません。
まずは重要度の高い区分所有法、不動産登記法、宅建業法を優先して押さえ、問題演習で知識を定着させていきましょう。
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